4.研究費の使用ルール

研究費は、研究遂行のために必要な経費に使用できますが、研究費の制度毎に使用できない経費等の使用ルールが決められています。

研究費の使用にあたっては、事前に当該研究費制度の使用ルールを十分に確認するなど、適切な使用をお願いします。

基本的に使用ルールは、各研究費制度の「要領」、「要項」、「事務処理説明書」等に記載されていますので、当該ルールを参照いただくようお願いします。

例:科学研究費助成事業(文部科学省)
   研究者使用ルール
   科研費ハンドブック  など

※不明な場合には所属部局の事務担当者へご相談ください。

共通事項

各研究費制度に共通する事項として次のことがあげられます。

  1. 目的外使用の禁止
  2. 目的内であっても使用不可のケース設定
  3. 使用可能期間(年度の区分など)の制限

使用の判断の際にご留意願います。

○大きく区分すると、研究課題の遂行に必要かどうかで大くくりのルールを設定しているものと、応募時のルールやケースごとに設定しているものがありますので、一度ご確認のうえ研究費の執行を行ってください。

研究課題など、目的遂行を前提とした
ルールになっているもの 例
細かいルール設定による
使途の制限が多いもの 例
科学研究費助成事業(文部科学省) 厚生労働科学研究費
寄附金(使途特定寄附金) 受託研究費(特に公的機関)
共同研究費(特に公的機関)
参考
研究費の種類ごとの使用可否の例示

使用の可否について、大まかには次の表のように整理できます。

ただし、個別の研究費使用ルールの定めにより、これにより難いものもありますので、最終判断は各研究費制度の使用ルールをご確認下さい。

研究費の種類 国・独立行政法人等
からの研究費
財団法人・民間企業
等からの研究資金
運営費交付金事業費
代表的な研究費制度 科学
研究費
助成
事業
厚労省
科研費
補助金
左記
以外の
補助金
委託費 受託
研究費
共同
研究費
寄附金 自己
収入
当該研究に不可欠なもの 例 設備備品(注1)
消耗品
人件費・謝金
旅費
修理費
印刷・製本費
通信・運搬費
学会参加費
賃借費
判断を要するもの 例 会議費(注2)
(注3)

(注3)

(注3)
×
(注4)
×
(注4)
加入が任意の保険料
(注5)
工事費 × × × × ×
研究室の運営経費
(注6)
× × × × ×

(注1)設備備品は、研究費制度によっては購入できない場合があります。机・椅子等の什器類は研究との関連の説明を求められる場合があります。

(注2)飲食にかかる経費については、会議に係る飲食費の支出基準に従ってください。

(注3)アルコール飲料は不可

(注4)飲食に係る経費が研究遂行上、必要であり委託者又は、共同研究者から認められている場合は使用可能です。

(注5)研究遂行上、保険加入を必要とする場合は使用可能です。ただし、保険の目的・内容によっては使用できない場合があります。

(注6)研究課題の実施に係らない、研究室の運営のための事務にかかる経費等のこと

例示:文部科学省科研費の場合

大前提として研究の遂行に必要不可欠な経費は直接経費から支出できますが、一部支出できないものもあります。


使用可
  • 設備備品
  • 消耗品
  • 旅費
  • 人件費
  • 謝金
  • 印刷製本
  • 機器メンテナンス
  • 通信・運搬費
  • 学会参加料
  • 機器レンタル料
  • 建物賃借料
  • 会議費
×
使用不可
  • 建物等の施設の整備
  • 事故、災害などの処理費
  • 研究代表者、分担者の人件費
  • 嗜好品(酒、たばこ等)
  • 研究室の運営費
  • 学生の教育、トレーニング費用
  • その他間接経費を使用することが適切な経費

「何を買うか」ではなく、

どのような目的で使用するか」により、直接経費、間接経費等のいずれの経費での支出が妥当かを判断する必要がある。

直接経費の各費目(科学研究費補助金 研究者使用ルール)
物品費 物品を購入するための経費。50万円を超えるものは設備備品として管理する必要がある。
旅費 研究代表者、研究分担者及び研究協力者の海外・国内出張(資料収集、各種調査、研究打合せ、研究の成果発表等のための経費(交通費、宿泊費、日当)
人件費・謝金 資料整理、実験補助、翻訳・校閲、専門的知識の提供、アンケートの配付・回収、研究資料の収集等を行う研究協力者(ポスドク・リサーチアシスタント・外国の機関に所属する研究者等)に係る謝金、報酬、賃金、給与、労働者派遣業者への支払いのための経費
その他 上記のほか当該研究を遂行するための経費(例:印刷費、複写費、現像・焼付費、通信費(切手、電話等)、運搬費、研究実施場所借り上げ費(研究機関の施設において補助事業の遂行が困難な場合に限る)、会議費(会場借料、食事(アルコール類を除く)費用等)、リース・レンタル費用(コンピュータ、自動車、実験機器・器具等)、機器修理費用、旅費以外の交通費、研究成果発表費用(学会誌投稿料、ホームページ作成費用、研究成果広報用パンフレット作成費用、一般市民を対象とした研究成果広報活動費用等)、実験廃棄物処理費、バイアウト経費(一部研究種目を除く))
参考)よくある質問 会議等に係る飲食費について

長崎大学では、「会議費等に係る飲食費の支出基準」として本学で実施される会議ミーティングにおいて、食事や飲料を提供する場合の、その代金の支出について基準を設けています。

原則は、各研究費制度の使用ルールに従うことになりますが、「研究機関の基準に従う」のようなルールの設定になっている場合は、前述の支出基準に従うことになります。なお、この基準において、会議の際のアルコール飲料の提供については、支出できないこととなっておりますので、ご留意下さい。

  • 飲食費の支出を必要とする場合は、交付機関のルールを確認のうえ、実施伺いを作成し部局長の決裁を得て、当該決裁のコピーを経理調達課等へ送付してください。
直接経費、間接経費とは

配分機関から交付される研究資金の中には、「直接経費」と「間接経費」を区分しているものがあります。

科学研究費助成事業を例にとってみると

  • 直接経費とは
    研究の遂行に必要な経費及び研究成果の取りまとめに必要な経費であり、「物品費」、「旅費」、「人件費・謝金」、「その他」に分類される。
  • 間接経費とは
    研究の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費であり、研究代表者及び研究分担者の研究環境の改善や、研究機関全体の機能の向上に活用するもの。

と、定義づけられています。

間接経費を使用すべきものは、直接経費は使用できないなど、それぞれの主旨に沿った使用が求められています。

関節経費の金額

例えば科学研究費助成事業では、直接経費の30%の金額が上乗せされて配分機関から交付されています。

長崎大学では

間接経費は「研究機関」のための経費で、本部と各部局に配分され、学内では、大学高度化推進経費として様々な研究活動の支援や、部局の研究環境の改善に使用しています。